YMCA学院高等学校にて出前授業をしました
12月初めに2コマ×2週に渡って、高校生に『わたし・あなた・心・カラダ』というテーマで授業をしてきました。「人と関わること」「生きること」について考え、その中で「性のありかた」について学ぶことを目指しました。
1週目は、「自分ってどんな人?」、「自分と人を大切にするってどういうこと?」というテーマのワークをしました。
最初に「傾聴」というテーマの中の授業だったので、出た意見は否定せずに「自分オッケー、あなたオッケー」と思うこと、言いたくないことは言わなくてもいいけれど、「パスします」と言うなど自分の気持ちを表現しよう、という場のルールを決めました。
「自分ってどんな人?」は、自分の好きなとこ、良いところ、もう少しこうしたいと思っているところ、友達からこんなふうに思われているのでは?と思うこと、こんな人と友達になりたいな、などのテーマで紙に書いてもらいました。
自分をポジティブに捉えている人も、ネガティブに捉えている人もいて、先生やクラスメイトの違う一面が見れて面白かったのではないでしょうか。
「自分と人を大切にするってどういうこと?」では、最初に「自分を大切にしていないときはどういうときか」を考えてみました。
「ゆっくり寝ていないとき」、「自分の意見を言えなかったとき」、「~~すべきと思ってしまうとき」、「自分を悪いと思ってしまうとき」、「自分をダメだなと思ってしまうとき」など様々な意見が出ました。
次に「自分を大切にするってどういうこと?」という投げかけでは、
「おいしいものを食べる」、「趣味などしたいことをする」、「たっぷり寝る」、「友達とおしゃべり」、「嫌なことは嫌っていう」、「ダメな自分にも、弱い自分にもOKを出す」などこれまた様々な意見が出ました。
最後に「人を大事にするってどういうこと?」という投げかけでは、
「話を聞いたときに、正しい・正しくないの判断をしない」、「悩みや辛いことを聞いてあげる」、「自分の当たり前を押し付けない。私にはできるのに、なんであなたにできないの?という態度でいない」
「自分を大切にしないと人を大切にしようと思わないから、まずは自分を大切」にする」という意見も出ました。この時間に言いたかったことは正にそのことで、人との付き合いも大事だけど、まずは「自分を大切にしてね」というメッセージを高校生に伝えました。
2週目は、最初に「自分と人の心とカラダの境界線」を考えるゲームをしました。
教室を3分割し、「OK・大丈夫」、「どちらでもない・わからない」・「NG、絶対無理」ゾーンわけました。
そして下記の様な質問をしたときに、自分が思うゾーンに移動してもらいました。
初めて会った人と手をつなぐ
仲のいい人と手をつなぐ
初めて会った人に肩をたたかれる(ねぇねぇとかツッコみで)
仲のいい人に肩をたたかれる
好きな人から頭をポンポンされる
お気に入りのタオルを貸す
男女わかれて着替える
服装をほめられる
髪型をほめられる
見た目(かっこいい、かわいい)をほめられる
どの質問のときも、OKの人もいれば、どちらでもない人も、NGの人もいました。
自分はこれは「OK」だけど、人は「NG」なんやなぁ、とかまたその逆もあって、感じ方は人それぞれなんだと分かってもらえたと思います。
また境界線は変わりやすく、時、場所、関係性、その時の体や心の調子、育った環境、成長の段階、出会った人、文化、宗教によっても変わる、という話もしました。
だから「自分の普通は人の普通ではないし、人の普通は自分の普通でもないこと」、「あなたの心と体はあなたのもの。一人一人違うかけがえのない存在なんだよ」というメッセージを伝えました。
最後の50分は、自己決定権のお話がメインです。日本では性に関する教育をしっかり受ける場面がないため、正しい知識を知ろう。「ネットの情報や、漫画やドラマやAVでしていることがいい」と思わない方がいいし、自分は「あれはフィクションだ」と思っても、「AVでしているのだからいいだろう」と思う人もいること。
性の捉え方や好きという気持ちには様々あること、恋愛や性行為を自分はしないと思っていても、もしかしたら危ない目にあうかもしれないから、覚えておいた方がいいこと、デートDVのこと、避妊のこと、自己決定権という概念のことなどを話しました。
最後に子どもの権利条約というものがあり、みんなには教育を受ける権利や危ないものから守られる権利があることを話しました。
高校生たちは熱心に聞いていたように感じました。今回の授業で自分はわからなくても、クラスメイトや先生のお話から学ぶことがあったり、後々に分かって来たりすることもあるのではないでしょうか。
恋愛だけでなく、家族やクラスメイトやこれからの仕事の場面で、「自分オッケー、あなたオッケー」と思うこと、「自分を大切にして、嫌なことは嫌と表現できる」ようになること。それが性教育というか人権教育の基本であると思いますし、今回の授業で感じ取ってくれたら嬉しいです。(大橋)